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■ クリエイティブな翻訳
私は以前からドストエフスキーやカフカ、ヘミングウェイなどの海外文学を読むのが大好きでした。
就職して以来、そういった海外文学を接する機会は少なくなってしまいましたが、好きな気持ちは今でも変わりません。
私が翻訳作業に興味を持ったキッカケは、そういった「文学熱」に浮かれて「自分も文章を学びたい」と思ったからです。
そこで手本となったのが村上春樹という作家でした。
彼はもともと三島由紀夫や川端康成といった「日本文学」が大嫌いで、
若い頃から洋書(ペーパーバック)ばかり読んで育ってきたといいます。
今や世界的作家とも形容されるほどの村上春樹ですが、彼の文章ルーツはほとんど「翻訳」から来ています。
彼はフィッツジェラルドやカーヴァー、アーヴィングなどアメリカ作家の小説を自分流に翻訳しては、自分だけの文章スタイルを生み出していったんですね。
彼のデビュー作は、当時の日本文学界が見たこともないような文章であり、文壇から大絶賛されたのは有名な話です。
実はこういった例は100年ほど前にもありました。
夏目漱石です。
夏目漱石も、ガリバー旅行記やトリストラム・シャンディといった英国文学を自己流翻訳することで、自分だけの文章スタイルを築き上げた類稀な作家のひとりです。
外国語には、まだ私たちが知らないような「言葉の宝」がたくさん埋もっています。
翻訳とは、ただ単に外国語を日本語に置き換えることではなく「新しい言葉」を創造する、とってもクリエイティブな作業です。
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